手取川にてフィッシュオン!ならず 近況報告②

ウエダのロングベイトロッドでキャスティングを決める、某動画職人(ネコビジョン)
ウエダのロングベイトロッドでキャスティングを決める、某動画職人(ネコビジョン)
それなりの用意はして行ったわけです。写真は、新たに補充したもの。「忠さんのスプーン」で釣りたかった……
それなりの用意はして行ったわけです。写真は、新たに補充したもの。「忠さんのスプーン」で釣りたかった……

 大晦日ですが、近況報告です!

 11月の中旬。本誌のデザイン・レイアウト担当Y氏が、釣りに誘ってくれたのが、「手取川」。というわけで、某ネコビジョンK氏とあわせて3名で、初の手取川すちゃらか道中が決定したのであります。石川県で、“手取川サケ有効利用調査”として10年以上前から実施されていましたが、実際に行くことになるとは……。ワイルド-1京都宝ケ池店の森本さんや京淀川漁協の藤林さんがこの手の釣りにお詳しいのでいろいろと教えてもらい、他にも何件か市内の釣具店を回って最低限度のルアーを補充。ここ数年はプラグがメインの釣りをしていましたが、久しぶりにスプーンボックスを開けてみたら、いつか北海道か憧れのアラスカで投げてみたいと長年ちょこちょこ買っていた大き目のサイズも結構な量があり、自分でもびっくり。ちなみに琵琶湖・湖西では8〜10g前後の細身のスプーンは、バス・ハスなどが簡単によく釣れるので、おすすめです。

中央は偶然お会いした手取川のエキスパート、東さん。JGFAの淡水フライフィッシング・シロザケ部門の日本記録保持者なのです
中央は偶然お会いした手取川のエキスパート、東さん。JGFAの淡水フライフィッシング・シロザケ部門の日本記録保持者なのです

  暗い内に現地についたものの仮眠をして起きたら、もう受付にたくさん人が並んでいました。出遅れて途方にくれる、のんびりやさんの3人。しかし汗だくで 上流側に歩いて中州にわたったら、人も少なく開放感にあふれた場所に入ることができました。雰囲気は抜群、サケを釣るならこうでなくては。琵琶湖・湖東の大同 川のホンモロコ釣りなどでは、魚は上流に向かって群れで回遊していくのがあきらかなので、有名ポイントでなくても、実際にはよく釣れます。わざわざ大きな 川に来たのに兵庫の芦屋浜でのタチウオ釣り? と思ってしまうくらい人が密集しているような場所で釣りをせんでも、遡上魚が相手なので、簡単に飛距離が出せる ルアーキャスティングでなら、絶対に人の少ない場所でもチャンスはあるはずです。現に釣り場の雰囲気に慣れるまでの1時間ほどの間 、結構な数のシロザケが上流に向かって泳いでいくのが目視できました。釣り方は、スプーンのドリフトです。いわゆる、“スプーンを底で転がす”やつ。それなりに釣りの動作に慣れてきたところ、なぜか目視できる魚の気配が一切消えるとい う、よくある哀しいパターンに突入。投げれども投げれども、釣れてくれません。それでもせっかくなので、投げ続けている内に、心のポジティブスイッチが 入ります。

  今回、あえて自分のタックルはベイトに絞りました。自慢の「ヒロ内藤スペシャル」のテレスコピックのディープクランク用ロッドが2本。神戸の天狗と大阪の フィッシングサロン心斎橋で、それぞれ購入したものです。リールはAbuの4000番代。オールドモデルではありませんが、一応、ボディにはスウェーデン製 と刻印されています。

 

Abuの丸型でのキャスティングは最高に楽しいのを、再確認できました
Abuの丸型でのキャスティングは最高に楽しいのを、再確認できました

  サーモン釣りということで、本当に久々に開高さんの『フィッシュ・オン』を再読したところ、すっかり忘れてましたが、今の自分にかなりの影響を与え ていたことが発覚しました。アラスカのキングサーモンからスウェーデンのモラム川のほとりのABUの工場を訪ねるあたり、なるほどと、あらためて夢中になりました。よって、ベイト タックルで挑戦することにした訳です。

  今回7時間以上スプーンを投げ続けてみて、ベイトキャスティングの楽しさを再確認できました。広背筋を使用しキャストした後の「シュイーン」という音に 鳥肌が立ち続け、何かが覚醒しました。キャスティグに関しては、一種のスポーツです、やはり。運動不足を解消するのに、とってもいい感じ。途中あまりに釣れないから昼休 憩したんですが、適度に運動したのがよかったのか、石の河原で横たわって少し眠ったときの気持ちよさは格別でした。重めの金属片を投げるのに、丸型のAbuは十分の性能を持っています。調 子が出てきたら、 スピニングタックルで投げておられる方と変わらない飛距離が容易に出ます。海でのカゴ釣りを愛好されている方なら常識なのかもしれませんが、手取川の対岸まで楽勝届くこの性能なら、やはりいろい ろ使えるじゃないのとあらためて思いました。急遽次の号には、そのあたりの超エキスパートに御登場いただくことにしました。本誌初登場の方も含みます、 どうぞ御期待ください!!

河原のあまりの気持ちよさに、開放されちゃっているY氏。お昼休憩中
河原のあまりの気持ちよさに、開放されちゃっているY氏。お昼休憩中

  さて、釣りの方は結論から書きますと、全員丸坊主!! かたじけない……。魚にやさしい釣りです。しかしお隣の方が、コンディションのいい個体を見事に釣り上げられましたので、その勇 姿を紹介させていただきます。手取川のサケは、あまりコンディションがよくないという話も大先輩方から何回か聞いたのですが、事前に確認したとこ ろ、ネット上では近年そのあたりが改善されているという説も流れていました。今回お隣の二人連れが一匹ずつ釣り上げておられましたが、一匹はめちゃく ちゃ引いていて、一匹はダメでした。よく引いていた方の個体がたくさん釣れたら、それは楽しいと思います。

  自分には、悲劇も。自慢のヒロ内藤スペシャルの長い方の一本を、魚が掛かったと勘違いして大アワセした際に折っちゃったのです。長年にわたる荒い扱いで、ブラン クに傷が入ってしまっていました。竿と共にすごした時間があきらめきれないので、竿は修理することにしました。傷心気味の釣り時間終了間際、ついに本当に魚が喰い付いたのです が、竿を折った後なのでビビってしっかりワセを入れることができず、下唇を噛んだのでした。

  帰りの車中、みな平等に釣れなかったので険悪・倦怠ムードが漂いまくっていたのが、なぜか古いアニメや戦隊もの、ヒーローものの話になって全員が覚醒。「ばくはつ五郎」「クレクレタコラ」「ミラーマン」をはじめ延々と続く懐かしいフレーズに血圧が上昇。結構詳しい気 でいたのが某ネコビジョンは遥かにその辺に詳しく、また、Y氏に至っては開いた口がふさがらない驚愕の知識量。みなの話についていけず、これまた下唇を噛んだのでした→ウ ソ! 爆笑しまくってました。

見ず知らずのお隣さんが釣り上げたシロザケ。よく引いていた、キレイな個体
見ず知らずのお隣さんが釣り上げたシロザケ。よく引いていた、キレイな個体