唐突ですが、小誌の05号より根掛かり回収機の広告が掲載されているのを御存知でしょうか?
ずっと応援くださっているのは、新潟三条の「ベルモント」さんです。同社は金属製の釣り用品の製造メーカーですが、近年は焚き火台やホットサンドメーカーやチタン製のシェラカップなど、キャンプ道具の分野でも大人気です。
小誌の北原は長年、同社の根掛かり回収機を溺愛しているのですが、そうなるまでには、きっかけがありました。立ち上げすぐの頃「サムルアーズ」さんの取材時に社員A氏(現・隆太氏)が愛用していたのに興味を持ったんです。後日「あの金属の棒は何?」と尋ねたところ、「根掛かり回収機やねん。仲間が愛用してて、評判いいので僕も導入してみた。噂にたがわずかなりイイよ! オススメやわ」とのことで、早速「ルアーリターンⅡ」を購入してみたのでした(ちなみに隆太氏が愛用していたのは畳んだサイズが一番コンパクトな『ルアーリターン245』です)。
以来、いったい幾つのルアーや仕掛け、毛鉤などを救出できたことか……。普段の釣りでも取材中でも、あってよかったと思ったことは数え切れないほどです。
釣具だけではなく、垣根に引っ掛かったバドミントンの羽・ボール・紙飛行機など、チビどもが失敗して半泣きになってるのをレスキューしたことも多々あります。
レスキュー歴の中で思い出深いのは、ルアーリターンⅡを購入してすぐの頃の失敗です。大切な宝物(サム山岡さん制作による貴重なハンドメイドプラグ)を引っ掛けるという大失態で、ミスキャストした瞬間に髪の毛が逆立ちました。琵琶湖最北部にある湾内の岸辺で、手では絶対届かない高さの木の枝に、うっかり投げちゃったんです。めちゃくちゃお気に入りの異次元的によく釣れるペンシルベイトだったので、無くすことなど考えられません。失投した自分に怒りが込み上げ「ダー! 俺のボケーっ!!」と取り乱しかけました。しかしその時ふと「そういえばルアーリタアーンⅡを車に積んでる!」と思い出したのです。あっさり回収できた時には「買ってよかった」と心底思ったものです……。
そもそもそんなに大切なら投げなければいいんですが、そこがルアー釣りの難しいところで、雰囲気のいいポイントを見てしまうと、絶対に釣りたくて投げたくなる誘惑に負けてしまうわけなんです。宝物が引っ掛かりもうアカンかもと思ったとき、購入したときの嬉しさや手のひらに置いて眺めながらハイボールを飲んだこと、いっぱい釣れたことなんかが走馬灯のように思い出されました。
市場で販売されている根掛かり回収機にはタイプがいろいろあり、それぞれに良さがありますが、金属の棒を伸ばすこのタイプの良さは、水上で引っ掛かっているのも外せることです。ヘッド部のスキ間に道糸を通してからヘッドを近づけてガサガサ探ったら、ほとんど回収できます。
購入時には少し高いかもと感じていましたが、それは製品がしっかりしていることの裏返しでした。長年すごく手荒く繰り返し酷使してきましたが、それでも強度はあってまだまだ使えます。お金の話はなんですが、おかげで一体何円分回収できたのでしょう? それより何より、釣りゴミをフィールドに残さずに済むのが本当にありがたい。鳥や動物が針や糸に引っ掛かる悲劇も回避できるんです。
とにかく、「絶対に無くしたくないルアー 還ってくる思い出はプライスレス!」と広告にうたわれているコピーは、掛け値なしに本当です。自信を持って、オススメさせてもらいます。