鷹が渡り、コアユが浜辺に打ち上げられる秋となりました。いよいよプラッギングのハイシーズンです。
さて9月1日より、日本魚類学界が発行している『魚類学雑誌』のウェブ上の早期公開枠に、今後の琵琶湖にとって非常に重要な論文が掲載されました。「国立環境研究所琵琶湖分室」さんの取り組みによるものです。
その論文内で、釣りメディアの大先輩である八木禧昌さんが若かりし日に心血を注いで出版した『琵琶湖の釣り場』シリーズや、小誌のホンモロコ関連の記事が、参考文献として紹介されています。創刊準備号から継続的に琵琶湖のホンモロコ釣りを取り上げてきたことが、ホンモロコの再生を目標に掲げた真摯なスタンスの科学的調査のお役に立てたということなんです。これは小誌にとって、何より嬉しいことです。
一足先に論文を読んだところ、地道な調査を繰り返し、新たな視点の提言もなされていて、根底に琵琶湖への深い愛が感じられます。そもそもホンモロコとタモロコの卵の違いとかは人間の目では見分けがつかないそう。そこで卵1粒ごとにDNA 種同定を執拗に繰り返し、エリアごとの産着卵調査がなされています。本当に琵琶湖が好きでないとやってられない調査だと思います!
【以下が、その論文です】
「琵琶湖沿岸におけるホンモロコ産着卵の分布:野外および文献調査に基づく最近80年の歴史的変遷」
馬渕 浩司, 西田 一也, 吉田 誠 共著
※ネット上の論文公開先は以下の通り。現在は早期公開版で、日本魚類学会の会員のみしか閲覧できません。しかし2年後には一般公開されるようです。
→https://www.jstage.jst.go.jp/article/jji/advpub/0/advpub_21-044/_article/-char/ja
また日本魚類学界のHP内の「出版物」のタグに入ると、過去の『魚類学雑誌』が閲覧できます。そこでまだ同論文は公開されていませんが、いずれ公開されてから2年後には一般公開されるようです。
【小誌読者必見の動画はコチラです】
※この研究に取り組んでおられる馬渕さんが御出演の動画です。研究の成果がコンパクトにまとめられていて、大興奮間違い無し!
魚類の復活を通して豊かな環境が戻ってくれば、そんなに素晴らしいことはありません。環境を復活させることができるのも人間であるなら、明るい希望が湧いてきます。釣り人や釣りが“水辺の番人”としての役割を果たし有意義な研究のお役に立てるなら素敵です!